1945年8月6日、9日-広島・長崎に原爆が投下され、2つの街が一瞬にして、「地獄」に突き落とされました。広島、長崎ではその年のうちに約21万人もの尊い命が奪われました。しかし、原爆を使用したアメリカは、広島・長崎への原爆被害が世界に伝わることを恐れ、厳しい報道管制をおこない、実態は日本国民にも、アメリカ国民をはじめ世界の人びとにも知らされませんでした。
1954年3月1日、アメリカが太平洋ビキニ環礁でおこなった水爆実験によって日本国民は三度の原水爆による被害を受けました。ビキニ水爆被災事件をきっかけに、広島・長崎の被害、放射能による惨禍を広範な国民が知り、核兵器の廃絶を求める「原水爆禁止署名」が全国でとりくまれ、1年余で当時の有権者の過半数3400万に達しました。
こうした原水爆禁止を求める大きな国民の声を背景に、1955年8月、広島で第1回原水爆禁止世界大会が、翌56年には、長崎で第2回原水爆禁止世界大会が開かれました。以来毎年、世界の人々と連帯して世界大会が開催されてきました。いまや核兵器廃絶は世界の大きな流れに発展しています。
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【2018年原水爆禁止世界大会 神奈川県代表団資料集】
はじめに………`資料集発行にあたって………… 2
核兵器禁止条約の採択1周年にあたって………3~6
核兵器禁止条約の調印・ 推准を………………7~ 14
2020年NPT再検討会議に関して……………15~ 17
朝鮮半島非核化・平和の構築に関し……… 18~ 24
*南北首脳会談・米朝首脳会談など
イラン核合意をめぐって…………………………25~27
原発問題…………………………………………………28
神奈川県の米軍基地をめぐる諸問題……………29~36
2018年 神奈川県平和行進………………………37~40
ビキ二事件…………………………………………40
いま、被爆者何人?… …………………………………41
市民社会の平和運動など…………………………42~46
沖縄慰霊の日―一平和の詩<相良 倫子さん>…47
原子力潜水鑑の機須賀入港に対する抗議文……48
原水爆禁止世界大会実行委員会第82回総会
2018年5月24日
原水爆禁止 2018年世界大会まで、あと2カ 月余りとなりました。ことしの大会は、核兵器禁止・廃絶をめぐって国 内外ともに激動の情勢のなかで開かれます。
核兵器禁止条約の批准。 発効にむけたうごきとともに、 「核兵器のない世界」の実現へ、禁止条約を生み出した被爆者をはじめとする車の根の市民社会と、国連や政府との共同がいっそう強くもとめられています。朝鮮半島やイラ ンにおける核問題をめぐって、非核平和を求める声が世界にひろがっています。
2018年世界大会を、その共同の力と、核兵器禁止・廃絶の展望を示す大会として成功させることを心から呼び かけます。
ことし2月 に、私たちが2018年世界大会のよびかけをおこなってから、核兵器禁止・廃絶、そして日本の平和と安全と密接な関わりのある朝鮮半島をめぐり前向きの変化が起きています。
4月 27日 、南北首脳会談を経て発表された「板門店宣言」は、朝鮮半島の平和的統一、朝鮮戦争の終戦、朝鮮半島の完全な非核化をうたう歴史的なものとなりました。6月 12日 には史上初めてとなる米朝首脳会談が開かれよ うとしています。
世界大会実行委員会として、朝鮮半島における対話・外交による紛争解決、そして朝鮮半島の非核化に向けたう ごきを歓迎し、支持することを表明します。同時に、本当にこの地域の平和と非核化を実現しようとするならば、軍事的緊張の根源である核兵器による脅し合いを断ちきらなければなりません。日本をはじめ、東アジアの国々、そ してすべての核保有国が核兵器禁止条約に加わり、核兵器への依存をやめるよう、東アジア市民社会の連帯と共 同を、ことしの世界大会で発展させようではありませんか。
アメリカをはじめとする核保有国が、核兵器使用政策をいつそう強化し、新たな核兵器の開発をすすめるなど、核 使用と核軍拡の危険が高まっていることも見過ごせません。こうした危険な逆流を許さないことがいつそう重要とな つています。
それだけに、世界の世論と運動の発展が強くもとめられており、ことしの原水爆禁止世界大会の役割はきわめて 大きくなつています。その成功のカギを握っているのが、わたしたち被爆国の草の根運動です。
いま、 「ヒロシマ・ナガサキのヒバクシャが訴える核兵器廃絶国際署名 (ヒバクシャ国際署名)」 をめぐる共同が、こ れまでの運動の違いを超えて全国各地にひろがっています。
また、安倍政権による憲法9条改憲ノーのとりくみ、辺野古新基地建設ストップの「オール沖縄」 の運動や原発ゼ ロ、人間らしい働き方やくらし、貧困と格差の解消など、よりよい 日本をめざして多くの人びとが立ち上がっています。
ことしの世界大会を、核兵器禁止から廃絶へ行動する日本の実現へ、共同の新しいステップヘ踏み出すものとし て成功させようではありませんか。多くの団体、個人のみなさんに改めて大会への支持と賛同をよびかけます。
原水爆禁止2018年世界大会を歴史的に成功させるため、大会成功のカギをにぎる代表派遣のとりくみを、大会 パンフレットの学習などを力に大きくすすめましょう。
6月 12日 (米朝首脳会談)、 7月 7日 (核 兵器禁止条約採択から1年)などを節 目に、 「ヒバクシャ国際署名」など、 核兵器禁止の行動に全国でとりくみましょう。原爆展や青年による被爆者訪問など、被爆の実相をひろげましょう。 60周 年となる国民平和大行進を成功させましょう。自治体との共同の推進や非核平和行政の充実とあわせて、核 兵器禁止条約への調印・批准を日本政府に求める自治体意見書採択をすすめましょう。
憲法改悪反対など、大きな共同がひろがりつつある中で、これまで世界大会に参加したことのない団体や個人の みなさんにもひろくよびかけ、大きな参加で成功させましょう。 これらのとりくみを通し /て 、非核平和の日本をめざす共同を草の根からひろげ、その経験と成果を大会に持ちより ましょう。
原水爆禁止2018年世界大会
国際会議宣言
原水爆禁止2018年世界大会国際会議宣言
73年前の8月6日と9日、アメリカが投下した原子爆弾は、広島と長崎にかつて人類が体験したことのない惨劇をもたらした。二つの都市は瞬時にして壊滅し、その年のうちに21万もの人々の命が奪われた。かろうじて命をつないだ被爆者も、放射線などによる後遺症に苦しめられてきた。破滅的で非人道的な結末をもたらす核兵器は、いかなる理由によっても、再び使用されてはならない。広島の地に集った我々は、いまだ人類の生存にとって脅威である核兵器を一刻も早く、完全に廃絶するために行動することを訴える。
未曽有の豪雨災害をうけた広島の友人たちは、猛暑のなか被災者支援と復旧に力を注ぎながら、たぐいまれな決意と献身によって、原水爆禁止世界大会の開催を可能にしてくれた。我々はそのことに、心からの感謝と限りない連帯を表明する。
昨年7月7日、国連会議が採択した核兵器禁止条約は、「核兵器のない世界」にむけた人類の歴史的な一歩となった。被爆者を先頭とする市民社会はこの一年間、この条約を力に核兵器の完全廃絶へと前進するために、条約を支持する諸国政府と共同して力を尽くしてきた。
核兵器禁止条約の発効にむけて、各国の署名と批准がはじまったもとで、禁止条約を推進する勢力と、反対する勢力とのせめぎあいが激しくなっている。
核保有国は、「核抑止力」が世界の安全に不可欠だと、禁止条約を非難するとともに、核戦力の近代化、核使用政策の強化をはかっている。米トランプ政権は「核態勢見直し」で、核兵器を使用する姿勢をつよめ、新たな「小型」核兵器の開発もすすめようとしている。ロシアのプーチン政権も、新型核兵器の開発と、戦術核兵器の先制使用態勢をつよめている。米ロの核軍拡競争の再燃は、「核抑止力」が安全ではなく、危険をもたらすものであることを明白に示している。核不拡散条約(NPT)の枠内で、核保有国も合意してきた「核兵器の完全廃絶」の「明確な約束」(2000年)やそのための「枠組をつくる特別の努力」(2010年)を否定しようとする動きも見過ごせない。
しかし、核兵器の完全廃絶を求める流れは、世界の本流としてゆるぎなく発展している。核兵器禁止条約の発効も押しとどめることはできない。核保有国などによる逆流の土台はもろく、そこには未来への展望はない。核兵器の使用を前提とした「核抑止力」が、人類にとりかえしのつかない被害をもたらすことはあきらかである。国連決議の採択結果に見られるように、「核兵器が自国の安全に必要」との議論への支持は、核保有国とその同盟国にとどまっている。「核抑止力」論は、その説得力を失い、破たんしつつある。
「核兵器のない世界」へと前進する決め手は世論と運動の発展である。世界はいま被爆者の訴えに耳をかたむけている。市民社会の国際的役割が飛躍的に拡大している。核兵器禁止条約を成立に導いた市民社会と諸国政府の共同の力をさらに発展させるならば、さまざまな困難をのりこえ、かならず前進をきりひらくことができる。各種世論調査では多数の市民が禁止条約への参加を求め、数多くの自治体もそうした意見を表明している。核保有国とその「核の傘」のもとにある国々での世論と運動の発展が重要になっている。
南北首脳会談と米朝首脳会談によって、朝鮮半島の非核化と平和体制の確立にむけた歴史的な動きが開始された。我々はこれを心から歓迎する。原水爆禁止世界大会は一貫して、この危機の平和的解決を求めてきた。一連の動きの背景には、諸国民の反核平和の世論がある。このプロセスをなしとげる根本の力もまた世論である。我々は関係各国が目標達成にむけて、誠実に交渉し、合意を履行していくことを強く求める。朝鮮戦争以来の敵対関係が解消され、北東アジアが平和と非核の「発信地」となるならば、アジアと世界の情勢に大きな、積極的影響を与えるだろう。
非核地帯の新設、強化、包括的核実験禁止条約の早期発効も、いまなお重要課題である。1995年のNPT再検討会議で核保有国も一致して決議され、2010年の会議でも合意されながらいまだ実現していない、中東非大量破壊兵器地帯についての会議を早急に開催し、この地域の非核化と平和を実現することは急務である。米トランプ政権はイラン核合意から離脱したが、我々はあくまでもこの問題の外交的解決を求める。地域紛争の平和的解決は、「核兵器のない世界」へ前進するうえでも重要である。パレスチナ問題の民族自決権にもとづく公正な解決を訴える。シリア内戦の政治対話による解決にむけ、武力行使と軍事介入の停止と外交努力の強化が必要である。
我々は、非核平和の日本を求める運動に連帯を表明する。いまほど日本政府に、被爆国にふさわしい役割を発揮することが求められているときはない。ところが日本政府は核兵器禁止条約にかたくなに反対し、失望と批判をひろげている。日本政府は禁止条約にすみやかに署名し、批准すべきである。この問題の根本には、アメリカの「核の傘」=「核抑止力」への深い依存がある。ヒロシマ・ナガサキの悲劇を知る日本こそ、核兵器の使用を前提とした政策を厳しくしりぞけるべきである。「北朝鮮脅威」論を口実にすすめられてきた在日米軍基地の強化は中止されなければならない。我々は沖縄県民に連帯し、その尊厳を踏みにじる辺野古への米軍新基地建設計画をただちに撤回するよう強く求める。戦争放棄と戦力不保持をうたう憲法9条を守り活かした外交こそ、アジアと世界の平和の流れにそった道である。
「命あるうちに核兵器のない世界を」との被爆者の願いにこたえ、その実現へと世界を動かしていくうえで、世論と運動の発展がいよいよ重要となっている。「核抑止力」論をうちやぶるには、核兵器の非人道性の告発がカギをにぎる。被爆者を先頭とする市民社会が、若い世代とともに被爆の実相をひろげながら、核兵器完全廃絶の緊急性を訴えていくことが重要となっている。
諸国政府に核兵器禁止条約への参加を求めるととともに、「核兵器のない世界」実現にむけたさまざまな運動や政府レベルの動きと広く連携し、大きく合流させてくことが重要である。市民社会と諸国政府との共同をさらに発展させることが、いっそう重要となっている。
いまこそ、核兵器に固執する勢力の抵抗をのりこえ、「核兵器のない世界」への確かな道をきりひらく壮大な運動をくりひろげよう。核兵器禁止条約を一刻も早く発効させるとともに、2020年のNPT再検討会議にむけて、これまでの合意を実行し、この条約の定める核軍縮交渉の義務(第6条)と責任をはたすよう核保有5か国に強く迫ろう。北東アジアでは、平昌につづき、オリンピックがあいついで開催される(東京夏季2020年、北京冬季2022年)。朝鮮半島の非核化とともに、北東アジアに平和体制を確立し、世界へ非核・平和を発信する地域としよう。
我々は、以下の行動を世界によびかける。
――被爆75年にあたる2020年までに世界数億を目標とするヒバクシャ国際署名を中心に、「核兵器のない世界」を求める多様な行動を各国で発展させ、国際的共同をすすめよう。原爆展・被爆証言活動を強化、発展させよう。核軍備強化反対など各国独自の要求とむすんで運動をすすめよう。第73回国連総会での軍縮審議(2018年9~12月)、NPT再検討会議準備委員会(ニューヨーク、2019年4~5月)などを節目に、国際共同行動を発展させよう。
――被爆者への援護・連帯をすすめ、国家補償を要求しよう。核実験被害者の救済を求めよう。あらゆる核被害者、とりわけ東電福島第一原発事故の被災者への支援を求めよう。原発ゼロを求める運動との連帯を発展させよう。枯葉剤、劣化ウラン弾、化学兵器などの戦争被害者を支援しよう。
――地域紛争の平和的解決を求めよう。各国の軍事費の大幅な削減、外国軍事基地の縮小・撤去を求める行動を発展させよう。
――地球温暖化をはじめ環境保護、格差と貧困の解決、生活と福祉の向上、あらゆる差別への反対やジェンダー平等と社会的正義の実現、人権と民主主義の擁護のための運動との連帯と共同を発展させよう。
核兵器禁止条約の成立は、世界が一部の大国によって支配されるのではなく、すべての国々が対等・平等の立場で、そのあり方を決めていく時代に入りつつあることを示している。市民社会が世論を発展させることによって、国際的に重大な問題でも、その解決に貢献できる時代が訪れようとしている。このことを深く確信して、「核兵器のない世界」へと前進しよう。
2018年8月4日
原水爆禁止2018年世界大会-国際会議
原水爆禁止世界大会実行委員会第81回総会
2018年2月15日
みなさん、
広島と長崎への原爆投下から73年目の夏を迎えます。「核兵器のない平和で公正な世界のために」をテーマにひらかれる原水爆禁止2018年世界大会への賛同と参加を心からよびかけます(国際会議8月2~4日、広島大会4~6日、長崎大会8~9日)。
わたしたちはいま、核兵器のない世界に向けて歴史の新しいステージに立っています。核兵器を明文上も違法化した核兵器禁止条約が成立し、「核兵器のない世界」への新たな展望がひらかれようとしています。さらに、そのために尽力してきた被爆者をはじめとする市民社会の役割が国際的にも飛躍的に拡大しています。ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)のノーベル平和賞受賞やローマ法王の被爆者との謁見などは、その象徴的なできごとでした。
「核兵器と人類は共存できない」「核兵器は必要悪ではありません。究極の悪です」(セツコ・サーローさん、ノーベル平和賞授賞式演説より)――今こそこの被爆者の声を全世界にひろげ、核兵器の禁止から、廃絶へと前進するときです。今年の原水爆禁止世界大会は、日本と世界の反核平和運動、国連や諸国政府の代表を広く結集し、これからの展望を示す大会となるでしょう。この歴史的な大会を、ともに力をあわせて成功させようではありませんか。
みなさん、
原水爆禁止世界大会は、内外の反核平和運動と「核兵器のない世界」をめざす国連や諸国政府の共同の場として発展してきました。こうした市民社会と国際政治の共同が、核兵器禁止条約を生み出す大きな力となりました。昨年の大会には、中満泉・国連軍縮担当上級代表が参加し、国連会議のエレン・ホワイト議長からメッセージが寄せられるなど、私たちの運動は高く評価されました。今年は、世界の反核運動からも大会への参加がいち早く表明されるなど、例年にもまして大きな注目をあつめています。
この大会を成功させることは、核兵器禁止条約の発効を求める国際世論、とりわけ、核保有国やその同盟国の調印・批准をめざす運動を発展させ、核兵器禁止・廃絶の実現へと前進するうえで、大きな意義を持っています。
みなさん、
「核兵器のない世界」を実現させるためには、これにたいする逆流をのりこえなければなりません。北朝鮮の核・ミサイル開発と米朝の軍事的緊張の高まりは、核戦力で対峙することの危険を浮き彫りにしています。米トランプ政権は、新たに発表した「核態勢見直し(NPR)」で、核兵器を使用する姿勢をいっそう強め、新たな核軍拡への道を突き進もうとしています。わたしたちは、「核兵器のない世界」をめざす流れに逆行し、ヒロシマとナガサキの惨禍を起こしかねない、こうしたうごきを断じて許すことはできません。
世界の圧倒的多数の国ぐにと市民社会が核兵器禁止条約を支持しているいま、核保有国は追い込まれています。原水爆禁止2018年世界大会を、核保有国やその同盟国が固執する「核抑止力」を打ち破り、前進する展望をきり開く大会としようではありませんか。
みなさん、
この大会を開く私たち日本の運動に求められていることは、ヒロシマとナガサキを経験し、その反省と教訓から平和憲法を持った国でありながら、米国の核政策に追従するとともに、その「核の傘」にしがみついて、核兵器禁止条約に背を向ける日本の政府の姿勢をあらためさせることです。日本の運動に課せられたこの国際的責務をはたすためにも、国内の団体、個人のみなさんの賛同と参加を訴えるものです。
みなさん、
原水爆禁止世界大会は、核兵器廃絶、核戦争阻止、被爆者援護・連帯を基本課題にひらかれてきました。同時に「核兵器のない平和で公正な世界のために」をテーマにかかげているように、反戦平和、公正な経済社会の実現をもとめる世界のあらゆる人びととの連帯の場でもあります。
また大会は、日本の運動にとっては、「核の傘」からの離脱、核兵器禁止条約への支持・調印・批准、核兵器禁止・廃絶へイニシアチブを政府に求める場です。安倍政権がねらう憲法9条改憲ノー、安保法制(戦争法)廃止と立憲主義回復、沖縄・辺野古新基地建設ストップ、原発ゼロ、くらしや福祉の擁護、格差や貧困の解消などを求める様々な運動との連帯をすすめる大会でもあります。
みなさん、
2020年までに世界数億を目標にした「ヒバクシャ国際署名」が、これまでの運動の違いをこえ、自治体・地域ぐるみで広がっています。原水爆禁止2017年世界大会―長崎決議で、わたしたちは、こうした共同の発展の上に立って、新しい国民的共同へ踏み出すことを訴えました。国政選挙での市民と野党の共闘が発展し、「安倍9条改憲NO!憲法生かす全国統一署名」をすすめる「市民アクション」がいま、各地で生まれています。私たちは、過去のいきさつや「垣根」を超え、核兵器禁止から廃絶へとすすむための国民的な共同を発展させることをよびかけるものです。
みなさん、
歴史的な世界大会を成功させるために心から訴えます。被爆者の声に耳をかたむけ、被爆の実相をひろげながら、「ヒバクシャ国際署名」の目標を実現するにふさわしい、壮大な共同を発展させましょう。60周年を迎える国民平和大行進を成功させましょう。これらの運動の発展を、8月の広島と長崎に結集しましょう。地域、職場、学園から、「核兵器のない世界」をめぐる情勢と展望を学び、世界大会へ代表を派遣するとりくみをただちに始めましょう。
原水爆禁止2018年世界大会-広島決議
広島からのよびかけ
今、私たちの光は核兵器禁止条約です。この会場にいるすべての皆さんと、これを聞いている世界中のすべての皆さんに対して、広島の廃墟の中で私が聞いた言葉をくり返したいと思います。「諦めるな。押し続けろ。光が見えるだろう?そこに向かってはって行け」
―2017年12月10日、ノーベル平和賞受賞式での被爆者・節子サーローさんの演説より
73年目の広島原爆の日――未曾有の豪雨災害をうけた被災地では、きわめて深刻な事態がつづいています。犠牲になられた方がたへのお悔やみと、被災者のみなさんへのお見舞いを申し上げます。猛暑のなか、広島をはじめ多くの方がたが被災者救援と復旧に力を注ぎながら、原水爆禁止世界大会の開催を可能にしてくださったことに、深く感謝いたします。
アメリカの投下した原爆がこの広島の街を地獄に変えたあの日から73年、私たちは核兵器禁止条約への各国の署名と批准がすすむなかで、この日を迎えています。その中で、6月の米朝首脳会談によって、朝鮮半島の非核化と北東アジアの平和体制の確立にむけた歴史的な一歩も踏みだされました。
しかし、アメリカの「核の傘」に深く依存する安倍政権は、核兵器禁止条約に背を向けるばかりか、「戦争する国」づくりに執念を燃やしています。
今日の世界の動きの根本には反核・平和の世論と運動の発展があります。核兵器禁止条約の発効や朝鮮半島の非核化を成しとげる力も世論にあると、私たちは確信しています。「核兵器は安全のために必要」だとする「核抑止力」論を打ちやぶり、「核兵器のない世界」を求める市民社会と政府の共同をさらに発展させるならば、かならず未来はひらかれます。
核兵器禁止条約を一刻も早く発効させ、被爆75年の2020年にむけて、「核兵器のない世界」に道をひらく壮大な運動をくりひろげましょう。東京、北京とオリンピックが続けて開催される北東アジアを、非核・平和を発信する地域へと大きく変えていきましょう。
2020年までに世界数億をめざす「ヒバクシャ国際署名」の運動を、首長や議員とも共同し、自治体ぐるみ、地域ぐるみで発展させましょう。アメリカの「核の傘」からの離脱と核兵器禁止条約への参加を日本政府に強く求めましょう。禁止条約への署名・批准を求める自治体意見書のとりくみを飛躍的に強めましょう。日米核密約を破棄し、非核三原則の厳守・法制化を求めましょう。
被爆の実相をさらに大きくひろめ、核兵器の非人道性を告発しましょう。すべての地域・自治体で「原爆展」や被爆体験を語る集いに取り組みましょう。原爆症認定制度の抜本的改善と被爆者への国家補償を求め、被爆者援護・連帯の活動をいっそう強めましょう。
3000万署名をはじめ9条改憲阻止のたたかいをさらに発展させ、「戦争法」を廃止しましょう。県知事選をはじめ、この秋、沖縄は重要な政治的対決のときをむかえます。県民の尊厳をかけた「オール沖縄」のたたかいと固く連帯し、辺野古への新基地建設の撤回、普天間基地の撤去を求めましょう。日米軍事同盟の強化に反対しましょう。
原発再稼働に反対し、原発からの脱却と自然エネルギーへの転換を求めましょう。雇用とくらしの破壊、貧困と格差の拡大に反対し、軍事費を削ってくらし・福祉・教育をまもる運動を強めましょう。あらゆる差別に反対し、ジェンダー平等を実現しましょう。
こうした運動を大きく合流させ、市民と野党の共同の力で、安倍政権を退陣へと追い込み、被爆国にふさわしい政府をつくりだしましょう。
60年をむかえた平和行進でも新たな共同が広がっています。いまこそ国民的な共同を新しいステージへと高めましょう。被爆者とともに、若い世代とともに、未来を切りひらいていきましょう。
ノーモア・ヒロシマ ノーモア・ナガサキ ノーモア・ヒバクシャ ノーモア・ウォー
2018年8月6日
原水爆禁止2018年世界大会-広島
原水爆禁止2018年世界大会・長崎決議
長崎からの手紙
9日、原水爆禁止2018年世界大会・ナガサキデー集会が採択した「長崎からの手紙」は次の通りです。
73年前、広島につづいて被爆地となった長崎に集った私たちは、すべての国の政府にたいし「核兵器のない世界」の実現のために尽力することを訴えます。
原爆で背中を灼(や)かれながらも、核兵器の廃絶を訴えつづけた“長崎の郵便配達夫”谷口稜曄(すみてる)さんは昨年8月に亡くなる直前、最後のメッセージを残してこう訴えました。「私たち被爆者が、もし一人もいなくなった時に、どんな形になっていくのか、それが一番怖い」「一日でも早く核兵器をなくす努力をしてもらいたい」―
被爆者たちは長年にわたり、その筆舌につくしがたい体験を人々に伝え、核兵器と人類が共存できないことを訴えてきました。私たちは各国の指導者が、被爆者たちの警告に真摯(しんし)に耳をかたむけ、人類の未来のために熟考し、行動することを求めます。
広島と長崎への原爆投下は、核兵器の使用がいかに破滅的な人道上の結末をもたらすかを示しています。いかなる状況の下であっても、この惨劇を二度と繰り返してはなりません。世界に存在する1万4千発をこえる核兵器は、いまなお人類の生存にたいする脅威となっています。この危険から人類を救い、すべての国の平和と安全を守るには、核兵器の完全廃絶以外にありません。
「核兵器のない世界」は、誰も否定できない世界の共通目標です。昨年7月7日に国連会議で採択された核兵器禁止条約は、それを達成するための歴史的一歩であり、被爆者をはじめ多くの人々が、新たな希望を感じています。しかし、目標へと前進するためには、さまざまな困難や障害をのりこえなければなりません。私たちは、核兵器のない世界の平和と安全への展望をきりひらくために、すべての国の政府に以下の行動を訴えます。
―核兵器禁止条約への署名と批准をすみやかにおこなうこと。条約の精神にもとづいて、発効のための国際協力を促進すること。
―核不拡散条約(NPT)再検討会議で合意された「核兵器の完全廃絶」の「明確な約束」(2000年)やそのための「枠組をつくる特別の努力」(2010年)を実行し、NPT第6条の核軍縮交渉の義務をはたすこと。中東非核兵器地帯についての会議開催の合意(1995年)をただちに履行すること。
―被爆者による証言や原爆被害の写真展示など、核兵器の非人道性についての啓発活動を積極的に行い、ヒバクシャ国際署名をはじめ市民社会のさまざまな活動を支援すること。
「核兵器のない世界」を実現するためには、諸国政府と市民社会の共同が必要です。ともに力をあわせていくことを心から訴えます。
ノーモア・ヒロシマ ノーモア・ナガサキ ノーモア・ヒバクシャ
長崎を最後の被爆地に―
行動提起
大会参加者のみなさん、3日 間にわたる世界大会への参加と討論、本当にお疲れ様でした。
最初に、この大会のためにおいでいただいたアイルランド、オーストリア、ベネ ズエラ、メキシコ、キューバをはじめ、各国の政府機関代表のみなさん、アジア・
太平洋、ヨーロッパ、アメリカなど世界の反核平和運動の代表、メッセージを寄せていただいた各国元首・首脳と広島市長をはじめ多くの自治体首長、政党と市民団体の代表、そして大会をともにされた内外の被爆者のみなさんに、心から感謝と連帯の意を表します。
合わせて、猛暑のなかで豪雨災害の被災者支援と復旧に力をそそぎながら、国際会議から閉会総会までの5日 間、大会を支えていただいた地元広島のみなさんに心 から感謝します。そして、通訳のみなさんをはじめ、準備にかかわつたすべての関係者のみなさんにお礼を申し上げます。
ことしの世界大会は、世界諸国民の世論と運動、政府と市民社会の共同によつて切り開かれた、核兵器禁止条約の発効と、朝鮮半島の非核化を求める流れを実らせるために、核兵器に固執する勢力の抵抗をのりこえ、
「核兵器のない世界」への確かな道をきりひらく、壮大な運動にとりくむことをよびかけました。
また、総がかり行動実行委員会の福山真劫共同代表がはじめて大会に参加し、日 本の平和運動・民主主義運動は分裂の時代から、確実に共闘の時代へと新しいステ ージの上に立っており、共同、共闘の中にこそ未来がある。そのためにともに頑張
ろうとよびかけました。このよびかけに応えて、共同の輪を全国津々浦々でひろげようではありませんか。 昨日の分科会では、「国際会議宣言」を受けて、政府代表をまじえた討論、「ヒバクシャ国際署名」のとりくみ、被爆者援護・連帯、沖縄との連帯、非核平和の朝鮮
半島とアジア、9条改憲ストップ、原発ゼロ、軍事費と暮らしなど、活発な討論がなされました。その成果を今後の実践に活かしましょう。
みなさん、 核兵器完全廃絶への前進にとって決定的なのは、核保有国とその同盟国において、 禁止条約を支持する国民的多数派をつくり、世論と運動で政府に調印・批准させる ことです。そのカギを握つているのは、それぞれの国の主権者である国民の選択で あり、世界数億めざす「ヒバクシャ国際署名」の役割がいまほど求められている時 はありません。 この日本でこそ、大きく前進させましょう。
日本被団協は、2020年 までに「ヒバ クシャ国際署名」の国民過半数をめざす方針を決めました。秋の国連総会への署名 提出を成功させ、さらに来春の次回NPT再検討会議の準備委員会に向けて、大きな 飛躍をつくろうではありませんか。
被爆国であり、憲法9条をもつ国にふさわしい役割を日本政府に果たさせること は、日本の運動に課せられた国際的責務です。日本政府に対して、 「核の傘」からの 離脱、核兵器禁止条約への調印・批准を迫りましょう。
すべての自治体で意見書決 議を実現しましょう。朝鮮半島の非核化と平和体制の実現の決め手となる、世論を発展させましょう。 「国際際会議宣言」と諸決議に学び、行動に立ち上がりましょう。 「核兵器のない世界」の実現にむけて、ともに前進しましょう。
2018年 8月 6日 日本原水協事務局長 安井正和
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